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30分で考えた短編の断片(期待なんて物は捨ててしまえ!)


世の中には「天才」という部類に入る数少ない人種がいる。
そういう人種は何でも万能にこなせ、何かが必ずズバ抜けた才能を持ち、大抵がルックスも良い。
いわゆる「出来た人間」
皆からは賞賛を受け、女子から好意を受け、世では安泰の地位を受ける。
間違った意見だと感じた人はそれでもいい。だが考えてみてほしい。
【常に完璧で何でもこなせるような人間が近くにいたとしたら】
どう思うだろうか?嫉妬をする?なりたいと思う?自分には無理だと思う?
全て正解でいいと思う。だって彼ら彼女らはそういう自分にはない物を当たり前のように持っているのだから。
でだ、なんで俺がそんな事を言うかって?勿論決まっている。俺は「天才」が嫌いで仕方がないからだ。
俺、酒月棗は別に嫉妬している訳でもなく、女子からチヤホヤされたい訳でもない。安泰の地位なんてどうでもいい。
俺も「天才」だからだ。
いいじゃないか。何が悪い。そう思うだろう。悪いに決まってんだろ?だから嫌いなんだよ。
俺は天才という肩書きと引き換えに感情を狂わされた。怒気と悲気だけが異常に高まるのだ。
それもこれもマザーコードの所為だ。アレで俺の人生は一気にどん底へと落とされた。
そのマザーコードと言うのは、16歳になると生まれた時にはめ込まれたエンゲージリングなんていう大層胡散臭い名前の腕輪にコードを挿され、才能を判別するシステムの事。
人間ってこの世に生れ落ちた瞬間から、必ず何か才能を持って生まれてくるらしい。それを考えた人間がだったらその才能を暴いて自覚させればいい世界になるのでは、と考えた。
結果は成功。最初に実験体として試された人間は見事にその才能を芽吹かせた。たしか「教職員」の才能だったはず。
実験を繰り返すことで信憑性はどんどん増してきて、遂には政府のお墨付きを貰い法律をも設けて、16歳になったらマザーコードに才能を教えて貰い、自分の進路を高校で考えようなんてのができてしまった。
今年から16歳になった俺は勿論その法律でマザーコードに才能を見せられた。しかし結果は「不明」と出た。
機械が故障した訳ではない。「不明」と出た人間にはある一つの共通点が存在した。
それは「人間には有り得ない才能を会得した」ということだった。
例外など有もせず、俺はその日特別な機械に頭を丸ごと弄られ、武器や兵器などに長け身体能力が普通の人間よりも飛躍的に高いという才能を知り、そう自覚した瞬間、頭の中で何かが壊れた。
最初は気がつきもしなかったが、その後の約半年間研究所の病棟で色々な調査を受けた俺は感情が高ぶりやすく、物事に過剰に反応してしまう対価を同時に手に入れてしまった。
その対価のおかげで、俺は表情や感情を表に出せなくなってしまった。最悪だろ?
そして俺は今、高校生活の醍醐味でもある夏休みが終わり、二学期最初の登校日ににあたる9月1日の朝を向かえていた。高校は研究所の連中が勝手に親に話を持ちかけて、研究所と縁の深い公立の高校に今日から編入する手続きをとっていたそうで、理由は「何かあってしまってもすぐに処置が取れるから」だそうだ。
「安全」という言葉に反応した両親はその話をのみ、晴れて病棟という名の監獄から抜け出した俺はダルい体をベッドから引き摺って、他人に決められた高校に行くべくYシャツに腕を通して革靴を履き潰して家の敷居を跨いだ。
これからどんな生活が俺を待っているのだろうか。知る由もないことだが、ハッピーエンドで終わる気配が万が一にも感じない。当たり障りのないよう生きていけばそれでいい。そう思う自分が悔しかったが、こればっかりは仕方のないことなので、さらにダルくなった両足を引き摺り、通学路を歩くのだった。
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